「正義」を考えて知的脳を刺激する

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この光景に見覚えのある人〜!

そうです、今年の春にNHK教育テレビで日曜夕方6時に放送されていた『ハーバード白熱教室』の様子です。
アメリカ建国よりも古いハーバード大学の歴史上、履修学生の数が最高記録を更新した授業が、政治哲学のマイケル・サンデル教授の授業「Justice(正義)」なんだとか。大学の劇場でもある大教室は、毎回1000人を超える学生がぎっしり埋まり、あまりの人気ぶりにハーバード大学では、授業非公開という原則を覆し、この授業の公開に踏み切ったのだそう。ハーバード大学の授業が一般の目に触れるのは史上初めてのことということで、我々視聴者にとっても大変貴重な興味深い授業です。
そんな Justice が、iTunes U の Harvard University カテゴリーで、全12話無料で視聴できます。私、今日まで知らなんだよ(笑)。数話見逃している回があるので、今早速ダウンロードしています。番組名は "Justice with Michael Sandel" 。こちらは英語版なので、日本語で楽しみたい人は、NHKオンデマンドで、ハーバード白熱教室 が視聴できますよ。こっちは有料で、1話210円全12回話パックで1980円です。

私、この番組の大ファンでした。毎週日曜の夕方はテレビの前に正座して、自分も生徒の一人になったかのように、サンデル教授が投げかける質問に指されやしないかとドキドキしながら(笑)、自分ならどう答えるか、なんて考えてみたり。

1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?
金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか?
前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか——。


投げかけられる質問は、シンプルながらも絶対的答えがないような内容で、それを、世界から選りすぐられた、様々な人種や社会的背景を持ったハーバードの学生たちが、大教室で意見を戦わせながら、その判断の倫理的正当性を問い、正義について考えていくもの。自分が想像しないような考えが、自分と違う宗教を信じる人から聞けたり、逆に、人種は異なっても全くもって同感してしまう考えが、性別年齢を越えて聞けたり、はたまた、さすが世界最高レベルの知的エリートハーバードの生徒、もう拍手をしたくなるような素晴らしい考えもあり。番組を見ながら思い出したのは、イギリスに住んでいた時に切に感じた「自分たちが正しいと思っている道徳観が、世界でも正しいとは限らない」ということ。たぶん、実際のところは、何事においても、人種、宗教、社会的立場の違いという簡単なもので片付けられるようなところにはないんだろうけどね。もっと、個人の経験や感情が渦巻いたところで人って思考すると思うから。
でも、考えるのって楽しいね。

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

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