エジプト政権崩壊に想う

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先月末に始まったエジプトでの反政府デモは、18日間続いた後の一昨日、ついにムバラク大統領が辞任を表明し、エジプト政権が崩壊しました。かつて、ベルリンの壁崩壊で歴史が変わったのと同じく、今回のエジプト政権崩壊はまさに歴史的瞬間とも言える事柄だったはず。世界における極東の国ここ日本では、悲しいかな世界が扱っているようなトップニュースでは報道されず、いえトップ扱いではあったのですが圧倒的に情報量が少なく、詳しく理解するために自身でネットで調べて情報収集しました。
そして、これまた無知で恥ずかしいのですが、デモが大きく報道されるまで、今回のエジプトの反政府デモが何故起こっているのか、その理由を知りませんでした。イスラム諸国では様々な問題で紛争が多いため、漠然とまた何か問題が起こっているんだと思っていましたが、具体的な理由を調べた所、やはり世界的不況によるダメージだったんですね。財政も失業率も悪化し、もともと政権基盤を支えていた低所得者への食料配給が滞りはじめたことが発端なのだとか。道理で、デモ行進をする人々の中に、痛々しい程痩せ細った若者も混ざっていたわけです。
現在エジプトの人口の9割以上がイスラム教徒で、イスラムコーランの教えとは、もともと砂漠などが多いアラビアの過酷な環境の中で人が平和に暮らすために定められた、相互援助をもとにしたもの。イスラムの考えからすると、エジプト政権が行った“低所得者への食料配給が滞り”は、イスラムの相互援助の考えに背くものであり、それにあわせて、長年に渡る独裁政治による法的圧力や言論統制に嫌気がさした人々の怒りが爆発したのが今回の反政府デモで、若者を中心としたFacebookTwitter での呼びかけがデモの規模をさらに大きくし、最終的には政権崩壊まで起こす革命となったわけです。確かに、他のイスラム諸国にとっても歴史的な一大事となったのは言うまでもありませんが、心配なのは、独裁的な政権が崩壊した今、エジプト軍が全権掌握ってのも、どうなんでしょう。政権がないままで宙ぶらりんになってしまう当面というのはわかりますが、軍が権力を持つのって、いつの時代も何か危ない気がしてしまう。今後の展開のほうがより心配でなりません。

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